『第22回静岡県図書館交流会』のご報告

 第22回図書館交流会は県内外から55名の参加があり、盛況のうちに終わる事ができました。ご参加いただいた方々にはお礼申し上げます。また、内容について下記にご報告いたします。

交流会の記事が静岡新聞に掲載されました。

2019年6月24日静岡新聞朝刊 (静岡新聞社編集局調査部許諾済み。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「法から見たこれからの図書館」~6月23日開催の第22回静岡県図書館交流会の報告~                   

 図書館をめぐる法が目まぐるしく変わり、その度に翻弄されていると思われる昨今の日本の図書館事情です。文部科学省の中央教育審議会で検討され、今年6月7日に交付となった「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(第9次地方分権一括法)もしかりです。この法律により、図書館等の施設が教育委員会から首長部局への移行が議会の承認なしにより容易になりました。

 この法案については、国内の図書館関連組織が、こぞって反対声明を出しましたが、いったい何が問題で、私達の身近な図書館にどういう影響があるのでしょうか? 講師は、千葉県で長年にわたり法律関連部署に勤務し、現在は千葉県市町村総合事務組合法務専門員で『法的視点から見た公立図書館への指定管理者制度導入の諸問題』(日本図書館協会)を始め、図書館をめぐる法についての見解を述べた著書を多数お持ちの鑓水三千男氏で、難解な法の解釈を分かりやすい言葉で語って下さいました。一言でいえば、図書館運営が教育委員会主導ではなく、首長、知事部局の権限が増すという事で、氏は下記のような問題提起をされました。(1部抜粋)

 

・教育委員会が社会教育をその所掌事務として維持しながら長の施策との連携を図り、必要な予算をつけることによって可能。

・地域のまちづくりや賑わい創出は、現行の法律でもすでに実現している自治体も多く、敢えて法を

変える必要があるのか?

・社会教育における政治的中立性、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、が重要であることは付帯決議のなかでも認めている。

 (註:図書館に関係する付帯決議)

五 地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管する場合にあっては、社会教育の政治的中立、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映、学校教育との連携等により、多様性にも配慮した社会教育が適切に実施されるよう、地方公共団体に対し、適切な助言を行うこと。

なお、付帯決議七項では、社会教育施設に関する規定の施行後三年を目途として、その施行状況を検証し、必要があると認める場合には、社会教育の適切な実施のための担保措置等について、所要の見直しを行うこと。とあり、運用に問題があることを認めている。

 鑓水氏は法の矛盾点と問題点を明快に分析したうえで、今後の展望を下記のように語って下さった。(1部抜粋・・詳しくはHPに掲載)

・分権一括法が成立しても、地方公共団体は、条例を制定して社会教育施設を長部局に移管しなければならない法的義務を負うものではない。

・条例は地方公共団体の議会の議決を要するものであり、議員が長の説明に対してこれを了とすることが不可欠である。社会教育施設を長に移管することに対して反対するなら、市民はその理由を議員に説明し理解を求める活動を行うことが必要である。

講演会には、一般利用者の他、図書館職員、行政関係者、研究者等、幅広い層の55名の参加がありました。私たちの自治体での今後の流れに注目していきたいと思います。

 

交流会鑓水氏の講演会レジュメはこちら交流会-遣水氏講演レジュメ.pdf

 当日ご来場者様のアンケート結果は下記のとおりです。

 

  第22回 静岡県図書館交流会アンケート結果~回答数25人~ 

2019・6・23

☆鑓水三千男氏の講演の感想をお聞かせ下さい。○を付けてください。

 大変良かった・・17 よかった・・6 よくなかった・・0  

 記入なし・・2

 

☆講演の感想

・よくわからないけれど、知らなくてはいけないと思っていたことが、先生のお話しでわかってきました。目の前の仕事だけでなく、広い目で図書館を知り、このようなことを気付かせていただけるような機会をいただけると嬉しいです。

・お話しのとおり、日本国憲法下で想定された体系と実態に大きな乖離があると思います。

 勤務先の自治体の場合、美術館などの文化施設、幼児教育、社会教育などが徐々に市長部局に移されています。教育長も歴代学校長経験者で社会教育への認識も低いです。

・私にはむつかしい内容ですが、わかりやすくお話ししてくださったように思います。このような法律について知らなければいけないと。と強く思わせていただきました。

・難しい内容ではありましたが、問題となるポイントが分かってよかった。

・大変勉強になりました。

・法の観点から図書館管轄の課題を考え、教育委員会に図書館の責務を求める明確なご意見を聴けました。「教育委員会」のやる気、質と機能をどう担保するか考えたいです。

・指定管理者制度、地方一括法について、日本の各地の事例を紹介いただき、説得力のある講演だった。

・とても分かりやすかった。

・「法」という切り口で、指定管理者制度にどういう問題点があるのか大変分かりやすかったです。

・直営での運営について、長部局でなく教育委員会が所管することが重要だが、必要な専門職員を配置し、ノウハウを蓄積することが住民サービスの向上につながるので、その内容についても確認が必要だと思いました。

・とても勉強になりました。「指定管理者制度」について、思い違いをしていたので正しい理解ができました。

・難しい標題だが、なかなか知る機会がないので良かったです。

・図書館に関する新しい法が6月7日に交付され、タイムリーな時期に講演を開いてくださったため、理解を深めることが出来ました。

 知らない内に決定した法でしたが、長部局への移管を可能にする内容だと気付かされ、危機感を覚えました。

・表に出ていない本当の状況が分かった。今後非常に心配されるので、本日の話を参考に気にしていきたい。非常に勉強になりました。有難うございました。

・理解しやすかったが、実際に理解を得るために説明することの難しさも感じました。

・とても分かりやすいご講演でした。「法」について具体的な内容を踏まえながら、説得力のあるお話しに、大いに共感を覚えました。有難うございました。

・豊橋市でも図書館が教育委員会から市長部局へあっさりと移管されてしまいました。表向きの理由も到底納得できるものではありませんが、裏の事情は推測するしかありません。このことがいかに危ういことであるかを広く市民に伝えていくにはどうしたらいいか悩みます。

・法を活用することが、図書館運動でも大切であることを再認識できました。

・法律面からの各種制約があることは事実ではあるが、県・市民から預かった税金をいかに効率的に使用する方法はなになのかを、常に検討する必要があるのでは?

・日頃はイメージや感情論で「直営〇」「指定管理×」という話を聞くことが多いです。今回は「法」という一定のところから話を聞く事ができてよかったです。資料やお話しが分かりやすいというところもよかったです。

 質疑応答の部分では、「指定管理会社×」という印象の残る話し方がすこしだけ残念でした。

 措定管理に関わる人と触れることが多いという私の個人的感情ですが。この会がそういう意向の会のようなのでそうなったと思いたいですが。

・県は社会教育にかけるお金が全国でも低いはず。もっと充実させてちゃんと機能させてほしいです。学校を出てからも。自主的に学ぶ機会を提供することは、地域や国のより良い発展にととって大切なことだと思います。

・「法」という観点から図書館を見直す良い機会になりました。自分の勉強不足を感じました。もう1度勉強しなおします。

 

☆静岡県図書館交流会に望むことをお聞かせください。

 

・22回も継続していることに敬意を表しつつ、今後も継続発展することを期待します。

・県内の図書館活動をしている団体との交流も必要。35市町の公立図書館職員との連携も重要だと思う。

・各運動体にとって、重要な情報交流の場となります。今後とも盛会を祈念します。

・議員さん(各会派の代表)達の意見を直接聞く会

・新しい県立図書館については、今後各方面からの注目が増すと思われますが、これまでの歴史や経緯をご存知の皆さんがしっかりと見つめていただければと願っています。

・是非継続することをお願いしたい。

・使いやすい図書館にして欲しい。

・知識共有と交流

・欧米の図書館(特に地方の)では、よく文化講演会、読書会や、各種勉強会が開かれているが、日本ではどうなのか?

・自由に使えるパソコンの設置がなされてないように思われるが?

 

☆静岡県図書館交流会は「新たな静岡県立図書館を望む会」など県内他団体と協力し合って図書館の発展のための企画をしています。今後の企画、講演会などでお望みのことがあったらご記入ください。

 

・図書館の運営の重要な点として、職員の充実が考えられているが、現実的に環境は悪くなっている。正規職員の確保について、利用者が当局側にアピールできる内容の話を聞きたい。

・緑の中でとても場所が良い。東静岡では電車の音など気になりそう。外の音が気になるので谷田のままの方がいいと思う。

・行政当局(知事部局なら知事部局)の図書館に関する出前講座。(情報提供)当局の機能チェック(透明性担保)にもなります。

・司書の業務姿勢の教育

 著作権に関わることでコピーの範囲に迷うことがあるのは当然だが、自分の理解も示さずに司書資格のいない(管理上の)上司に決めて下さいという。

 ちょっと怖い人が来たら、正規職員の男性を呼べばよいというだけで、自分はどう動くかの考えもない。私(現在図書館勤務)のまわりにはこんな司書がゴロゴロいます。司書の地位向上や賃金の向上を謳う事は多いですが、私の他業界での仕事の体験では、有資格者が無資格者に判断を丸投げする。困ったら男の人へ。と言うところはありませんでした。だから、こんな調子では、司書の地位や賃金の向上はありえないと思うのですが。これらを謳っていくなら、そういう教育をしてあげてください。